はつおもい
「…小牧さん」
しん…としている教室で、
私を呼ぶ先生の重い声だけが聞こえる。
「どうして歌わなかったの?
これが初めて全員で歌う練習でしょう?
みんな、ちゃんと歌ってたのに」
「………」
黙ったまま先生の方へちらりと目をむける。
腕組をしながら見据える目が、私をちくりとさせた。
きっと今、声をだしてもかすれて低い、小さな声。
静かな教室でそんな声を
みんなに聞かれるのは、嫌。
先生を困らせてしまうことだとわかっていたけれど
私は重たい視線を受け止めたまま、黙ってた。
そうしていたら
「…次からは、ちゃんと歌いなさいね」
諦めたかのように、それだけ言うと
ため息まじりで先生は視界から消えていった。
「歌えよ」
「小牧さんって、真面目に見えるのに
意外と……」
同じソプラノパートの女の子。
こそこそと話す声が聞こえて
私はぐっ、と重くて苦いものを
飲み込んだ気分になった。
隣のクラスの先生に呼ばれて、先生は教室を後にする。
先生がいなくなった教室は
一気にがやがやと騒ぎ始める。
その中で私はまだ落ち込んで、うつむいていた。
静かな教室でみんなの前で怒られることは辛く、
嫌なことはひきずってしまう性格の私。
落ち込んだら長い。私のダメなところ。
……そんな時
やさしい声が届いた。