花葬の時間


薄暗い洞窟の中でイチ君が笑ってる。



「バイバイ?なに言ってるの?ニナちゃんは帰っちゃだめだよ」



ヒタヒタと歩き出して、ついに洞窟から出たイチ君。お、怒ってるの…?てか、笑顔でハサミ持ちながらこっち来ないでよ!


ああ、逃げなくちゃ…!逃げなくちゃいけないって分かってるのに、足が地面に縫い付けられたみたいに動かないよ。


これはきっとイチ君の呪いだ。



「ニナちゃん」


「ひっ」



にっこりと笑うイチの笑顔はもう目の前。


ついにイチ君は「ニナ」を脇に抱えてハサミを構えた。



「い、いやっ…!!」



あまりの恐怖に思わず目をかたく閉じた。



ジャキジャキッという布を裁つ音が聞こえて、今にも気絶したい気分になった。


どうか目が覚めたら全部夢でありますように。



……なんて都合よくいくはずもなくて。


うっすらと開けた瞼の隙間から、覗見たイチ君の顔のドアップ。



「ひっ!いやっいやぁあ!」


「ニナちゃん、怖いなら目隠しをすればいいんだよ」



「いやっ、いやぁぁ!………は?」
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