花葬の時間
『目隠し』
聞こえてきた不可解な言葉に目を開ければ、ジャキジャキに切り裂いた自分の衣服の切れ端を持って、イチ君がニッコリ笑ってた。
「目隠し」
イチ君はもう一度言った。
……へ?なに、切ったのは自分の服…?確かにあたしはなんともない。
イチ君の服の裾が僅かに短くなっていた。
風に揺れる細長い布の切れ端。
笑うイチ君。
グチャグチャの「ニナ」。
もうわけが分からない。
「怖いなら、見なければいいよ。何も」
思考が停止していたわたしの目に、イチ君は素早く布を巻き付けて光を奪う。
「やっ!やめてっ!」
「僕が手をひいてあげる」
「行かないってば!」
「しっかり握っててね」
だから嫌だってば!イチは聞く耳を持ってくれない。
真っ暗闇の中、感じるのは恐怖とイチの手の冷たさだけで。
「心配しないで。ちゃんと僕が案内するから」
楽しそうに響くイチの声。わたしはもう洞窟の中に入っているんだ。
何故か目隠しを取る気にはなれなくて。
わたしはどこへ連れて行かれるんだろうと、ただ、胸がざわついた。