花葬の時間
『神秘的』そういう言葉しか思い付かなかった。
どこかに小さな吹き抜けでもあるんだろうか。上から差し込んでくる月の光。
そしてその下に輝くのは、見たことない花、花、花。一面、見たことのない白い花に埋まっていた。
それが月光を反射して青白く輝かせて。でも、時々光の加減でキラキラして、銀色に輝く雪のようにも見える。
本当に、現実世界とは思えないほど綺麗で妖しい場所だった。足元がふわふわする。
「もう灯がなくても見えるよね?」
イチ君がそう言って蝋燭の火を消したことにも気付かなかった。
「すごいよね、こんな洞窟に光が射してるなんて」
「……うん」
今なら、イチ君の言うことにだって素直に頷くことができた。
だって、ここに来るまでの苦労とか、恐怖とか、全部吹っ飛んだ。
これはすごいよ、イチ君。
「…イチ君、すごい……」
こんな場所知ってるなんて。
「あは。ありがと」
イチ君は笑って歩き出す。
「ニナはね、この花の下に埋めてあげようと思うんだ」