†Dragon Guardian†
「――っ!?壱加様ぁ!!」
縄できつく手足を縛られ
もがき苦しむ壱加を見た
弥嘉は、反射的に大きな
叫び声をあげた。
それを聞いた男性は驚きのあまり腰を抜かした。
「――壱加様、壱加様!!
壱加っ……様ぁぁぁ!!」
「ちょっ……君、まずは
落ち着いてっ!!」
弥嘉は尚も狂ったように
彼の名を叫び続けた。
彼女の声を聞くうちに、
ようやく男性は我に返り
懸命に彼女を制した。
***
「何があったの?」
男性は実に穏やかな口調
で弥嘉に話しかけた。
「………………………」
今更になって父親の言い
付けが頭をよぎり弥嘉は
暫し沈黙を守った。
その様子に痺れを切らし
男性は先程より若干棘の
ある口調で話した。
「黙っていたら分からな
いよ?少なくとも壱加君
関係のことだろ?なら、
早くしないと助かるもの
も助からなくなる」
それを聞いた弥嘉は顔を
上げ瞳に光を宿らせた。
「今すぐに、A班と連絡を
繋げてください!!」
弥嘉の凛とした声が冬の
冷たい空気に馴染んだ。