それでも君と、はじめての恋を
「わざわざ出入り口から入って来なくてもよかったじゃん。何を今更」
「いつも窓から入ってるみたいな言い方はやめて!」
窓際の、後ろから3番目のモモの席。
その後ろの席で窓に背を向けて座るあたしは、教室に入ってから一度もモモの顔が見れない。
だって! おパンツが見えていたらと思うと!
普段そんなこと気にしないのに! モモに見られたかもしれないと思うと!
はしたない! あたしってば女の子らしくないってか、下品!
顔を両手で覆うと、斜め前に座る純の呑気な声。
「まぁまぁ、過去のことはヨーグルトにでも混ぜてぇ~。はい、渉!」
「混ざるか!」
机に置かれていたおにぎりを純の顔面目掛けて投げると見事にヒットする。
純の後ろに座る葵は呆れたように溜め息をついて、「バカじゃん」と真顔で言った。