それでも君と、はじめての恋を
モモに出逢う前は、完璧とまではいかないけど自分が満足する程度にはメイクしていたのに。
いつの間にあたしの身だしなみは、モモに見てほしいに変わってたのか。
朝起きて、化粧ポーチを取り出して、鏡とにらめっこして、途中で手が止まってしまう。
無性に虚しくなって、鏡を閉じてしまう。
モモと逢えないなら、話せないなら、巻髪もメイクもネイルだって無意味だ。
「俺ぇ、渉のストレートヘア新鮮で好きだよ~」
「マジで化粧して。面倒ならしてあげるから」
チャラ男と完璧主義者に囲まれて、励ましのつもりなんだろうけど、あたしはニコリとも笑えない。
明日はもう、バレンタインなのに。チョコの材料も作る気満々で、告る気満々で買ってしまったのに。
笑えない。
想像していたバレンタインと現実が余りにも違いすぎて、泣けてくる。