それでも君と、はじめての恋を
「ほら、出来たよ」
「……ありがとう」
「下まつげは? 付けなくていいの?」
「うん、いいや」
昼休みに、強引な葵に気圧されてメイクをしてもらった。久々に睫毛がバサバサしてるのを感じる。
鏡を覗くと、髪はストレートのままだけどいつもの濃いメイクだった。
……うん。まぁ、これがいつものあたしだよなぁ……。
「目力ない渉なんて、キモすぎ」
「……キ?」
キモすぎ!? そこまで言う!? いくら中学の時から見ていたからって!
鏡を閉じて唖然としていると、葵は爪を磨ぎながらあたしを見ずに話し出す。
「逢いに行けばいいじゃん」
「……また無視されるの、怖い」
「だったら胸倉でも掴んでやればいんじゃん」
……そんな度胸があたしにあると思いますか、葵姉さん。
そう口にはせず、白金に近くなってる毛先をいじる。
「……分かってるんだよ。逃げてちゃダメだって」
でも、またあの冷たい目で見られるのかと思うと踏み出せない。
嫌われたくない。もう嫌われてると思うけど、これ以上嫌われたくない。
時間が解決してくれるんじゃないかとか、甘えたことを思うあたしは相当ダメだ。