それでも君と、はじめての恋を
*
あっという間に授業は終わって、帰りのHRが始まる。ガタガタと席に着く中、純が椅子の上でヤンキー座りをしながら手を上げた。
「安部ちゃ~ん! 誰かにチョコもらったぁ?」
「あ、保護者プリント持ってくんの忘れた」
「貰ってねぇぞあの様子だと!」
そう男子が口にすると、「上等だコラァ!」と安部ちゃんは急に怒る。
壁にもたれて鏡でメイクをチェックをしてるあたしの横で、「担任まじドンマイ」と言ってる葵に声を出して笑った。
保護者プリントを忘れたらしい安部ちゃんが「帰んなよ!」と言い放って教室を出ると、休み時間みたいにざわつく教室。
「安部ちゃん超ウケんだけどっ!」
「まぁオレらも貰ってねぇけどなー」
「早くしてくんないと、帰っちゃうんですけど!」
「お前誰に渡すんだよー」
クラスメイトの会話に鏡を閉じて、あたしは葵の席に頬杖をつく。
「うちのクラスって基本仲良いよね」
「悪いよりか、いんじゃん?」
まぁ、そうだよね。
「ん、せんぱ~い」
純があたしと葵の後ろを見て手を振り、見ると、冬休み明けに「ガチで死ね!」と純に暴言を残していった先輩が廊下に立っていた。