それでも君と、はじめての恋を
頬杖をついたまま目を見開いていると、モモは窓越しにあたしを見下ろしていた。
下半分が曇った窓ガラス。立っているモモの姿なんて、簡単に見える。
「お前のこと言ってんだぞ矢吹ぃ!」
「はいっ!? あ、うん!」
安部ちゃんがあたしを名指ししたことで、振り向いたクラスメイトの何人かがモモの存在に気付いた。
もっとも、あたしの前の列や隣の前列の人には見えないんだろうけど。
「え……桃井 寶?」
「だよな……」
そんな会話が聞こえてくる。
あたしは安部ちゃんに適当な相槌を返してから、恐る恐るモモを見上げた。
「……」
何か……言ってる?
でも分からなくて首を傾げると、モモは困った顔をする。
「何? 桃井どうしたの?」
後ろから気付いていた葵に声を掛けられるけれど、「分かんない」としか答えられなかった。
背中に何人かの視線を感じながら、モモを見上げることしかできない。