それでも君と、はじめての恋を
「……ん?」
モモはチョコをカバンの中に入れもせず、箱をジッと見ている。
……何? 可愛いでしょ?
不思議に思っていると、モモはチラリとあたしを見る。
「好きだよ」
そう小さな声で言って、ポカッと箱であたしの頭を軽く叩いた。
「……」
モモはさっさと歩き出したけれど、あたしは立ち止まったまま頭の中で今の言葉を繰り返す。
歩いていくモモの顔は全然見えないけれど、その背中を穴が開くくらい見つめた。
徐々に熱が顔に集まってきたのが分かる。先程まで全く聞こえなかった鼓動が、耳の奥で響く。
「ッヤダ――――!」
「!? ……何っ」
不意打ちは反則だと思うんだ! レッドカード! モモ退場! すぐ追いかけるけど!
驚いて振り向いたモモは、追いかけてきたあたしの顔を見て目を見開く。
「ははっ」
茹でダコみたいに真っ赤なあたしは、歯を見せてくしゃっと笑ったモモに心臓が爆発しそうになった。
今まで見たどんな笑顔よりも眩しくて、レアなモモの可愛い笑顔。
それは夕日に輝いて、舞い散る雪でさえモモの笑顔を引き立たせていた。