それでも君と、はじめての恋を
「渉と桃井だからでしょ。あの後大変だったんだよ、俺もあたしも告る!とか盛り上がってさ」
「あっはは! あれは凄かったよねぇ~。カップルも一気に増えたし。ま、バレンタインなのもあっただろうけどぉ」
ニヤニヤと笑いながらあたしを見て言うふたりに、キュッと唇を結ぶ。返す言葉がないわけじゃなくて、ニヤけちゃうから。
無論、幸せすぎて。
「うぅわ。超幸せです~ってオーラ出してるよこの子ぉ」
「分かる? ちょー幸せなの」
口の端を上げると、純は何だか悔しそう。
あたしは舞い上がりすぎて、まるで本当に経験豊富みたいに偉そうな口を開く。
「純も遊んでばっかないで、早くひとりに絞りなよね」
「うへぇ~。モテる俺がひとりにしぼったら、女の子が可哀相じゃぁん」
「はは。何キモイ何様なのウザい下校しろ」
「今登校してきたばっかなんですけどぉ!?」
うるさい純をあしらう葵。いつも通りのふたりを見て、あたしは声を出して笑った。
もう2月が終わりに近付いている。
あたしはモモという彼氏が出来て、毎日が幸せだった。