それでも君と、はじめての恋を
「とりあえず入ってもらえば」
……あ。
この人確か……あたしがここで告白した時、モモに声を掛けてた人じゃない?
「渉」
「ん? あ、ああ。はいはい」
モモが教室の前の方を指差して、あたしは出入り口に向かう。モモが鍵を開けに来てくれて、教室に脚を踏み入れると残っていた生徒の視線を感じた。
気にせずモモの席に向かえば、やっぱりあの時の人だと思う男子がモモの後ろの席に座っていた。
「モモの友達?」
「そうなるかなー。俺、森八尋。よろしく、彼女さん」
モモが答えるより先に自己紹介してくれた、もり やひろ……くん?て、アレ?
「え、あの、もしかして七慧くんの弟……?」
「ああ、うん。兄貴がどうもお世話になってます」
「うっわ! 初めまして! 親友がお世話になってます!」
「何ソレー」とケラケラ笑うのは葵の彼氏、七慧くんの弟だった。
同じ学校だってことは知ってたけど、まさか1組だったとは……!