それでも君と、はじめての恋を
*
「ぜ~ったい俺らの優勝だってぇ!」
無事にウォークラリーを終えて、2泊3日の林間学校はいよいよ終盤。
夕方5時を回った頃には全ての生徒が宴会場に集められ、ステージで行われている教師陣主催の催し物を見たり見なかったフリをしながら夕食を食べていた。
向かい側には純、その隣には葵。モモはあたしの右隣りにいて、モモの隣に森くんが座ってる形。
「モモと森くんと葵が頑張ったからねー。優勝出来ればいいけど」
「渉ぅ。俺の名前も入れるべきじゃな~い?」
絶対3組が優勝だと先程言っていた純も頑張ってくれたことには変わりないだろうけど、結局何人の女子を引き止められたの?なんて恐ろしくて聞けない。
純のしたり顔を見れば本当に40人、もしくはそれ以上の女子を引き止めたんだろうな……。
きっとゴールまでの道のりを複数の女子達と代わる代わる歩いてきたに違いない。
そして男子たちに恨まれたに違いない。
「身をていしてくれた純に感謝、お疲れさまデス」
「時間稼ぎご苦労。そしてご愁傷様」
「何で合掌してんのぉ!?」
葵と一緒に両手を合わせて純に頭を下げていると、森くんが可笑しそうに笑った。
「まあ俺らも早かったけど全体的には4組が1番早かったから、どうなるだろうねー」
森くんの言う通り、正直どうなるか分からない。
さすがに折り返し地点で大して休まず歩いていた生徒たちは先にゴールしてたと葵は言ってたけど、折り返し地点まで走ってきた男子たちの勢いは長続きするはずもなく。
片道6キロ以上あった距離を走り続けられたのは葵くらいだと思う。
実は景品があったということは携帯という便利な利器によって全生徒が知る由となり、ゴールで待機していた教師は困惑していたけど結果どうにでもなれと放り出した。
おかげで葵やモモが持っていたクラスメイト半分以上の紙は有効になって、3組の平均到着時間はだいぶ上位だとは予想してるんだけど……。
3組よりも早くクラスメイトが揃ったのが4組だったわけで、1組や5組もほぼ3組と同時くらいに揃ったからどうなるか分からない。