それでも君と、はじめての恋を
「あー、ゴホン。大体食べ終わったかー?」
マイクを通して聞こえた声は安部ちゃんのもので、話していたあたし達はステージへと顔を向けた。
畳が敷き詰められた宴会場には木製の長テーブルが7つあり、それを挟むようにクラスメイト同士で向かい合っていたのだけど、今はみんなステージに立つ安部ちゃんを見ている。
「えー、まあどっかの誰かさんが自分のクラスの生徒に極秘事項をバラすという信じられない行為を犯して色々あったわけだが。今からウォークラリーの表彰式に入るから静粛にー」
「安部ちゃん、よほど岸元に恨みがあんのかねぇ~」
ニヤニヤと笑う純を見ながらも、あたしの視界はほとんど安部ちゃんで占められていた。
「とりあえずビリのクラスには何もありません。で、参加賞からの発表なー……2組と5組と7組。ハイおめでとーっ」
「はー!?」
「もっと溜めて言えよ!」
「気持ち込もってないんですけどー!」
参加賞のクラスからブーイングが起こっても「お菓子詰め合わせが贈呈されまーす」と平然と言ってのける安部ちゃんは、ある意味最低で最強だと思う。
無論、残ってるクラスの生徒達も同じようなものだけど。
「3組はビリじゃないよね!?」
「ビリは6組だろーっ。てことは1組と3組と4組がトップ3じゃん!」
テンションが上がり始めた我が3組は、期待に胸をふくらます。
「ハイじゃあ続いて、3位はー……1組!」
「キャーッ!」と1組の方から喜びの声が上がって、代表者がステージへ景品を貰いに行った。
どうやら3位の景品は、人数分の飲み物とお菓子みたい。