それでも君と、はじめての恋を
「ん~やっぱ俺らが優勝だよねぇ~」
「まだ分かんないでしょ」
純と葵の会話にあたしの口の端は上がりっぱなしで、目の前にあったモモの背中を興奮気味にバシバシと叩く。
「どうしよう優勝だったら! 何貰えるんだろう!」
振り向いたモモの腕を掴んで大きく揺らすあたしのテンションは最高潮で、モモは何も言わないけど微笑んでくれた気がした。
「はいじゃあ続いて準優勝の発表に移りまーす」
上がりっぱなしのテンションに水を差すような抑揚のない安部ちゃんの声だけど、今はそれすら気にならない。
胸がドキドキして、ジワジワと湧き上がる興奮を早く外へ出したくて、騒がしかった空気はシンと静まり返った。
あたしはモモの二の腕をぎゅっと掴んで、モモはステージへと視線を移し安部ちゃんの発表を待つ。
「準優勝のクラスはー……俺のクラス!」
「キャ――ッ!!!!」
「っえぇ――!!!!」
歓喜と感嘆の声が混じり、あたしは「キャ……ッ」まで叫んで現実に引き戻された。
「ということで優勝は4組でしたオメデトウゴザイマスー。学食で1回だけ使えるタダ券が1人1枚配られっからみんなで分けてねー」
「オイ何平然と進めてんだよ! 俺のクラスとかふざけんな安部ぇえええ!!」
「優勝じゃねえのかよっ」
「いいじゃん2位でも嬉しいじゃん!」
「3組に豪華景品は!? ないの!?」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ3組の生徒を無視して、安部ちゃんは4組の代表にステージへ来るように促すだけ。
「……ちょっと~、これどういうことぉ?」
純の言葉にモモと顔を見合わせるけど、全く意味が分からない。
喜んでいいのか悲しむべきなのか、どっちに行くことも出来ない状況。