それでも君と、はじめての恋を
「――っ写真見る!? 昨日と今日ね、いっぱい撮ったんだ!」
テーブルにデジカメを置いて電源を入れると、モモは画面を覗くように少し首を伸ばす。
「えと、これ! 昨日の朝バスで葵と撮ったやつっ」
教室で隣の席にいる感覚とも、手を繋いで歩く時とも違う感じに心拍数を上げながらも、あたしはデジカメの画面をモモに見せた。
「ああ……何か撮ってたね」
「いつも純が割り込んでくるんだよ、ほら」
写真にまつわる話をいくつもしていると、進むのが遅いと思っていた時間はあっという間に過ぎていった。
昨日と今日撮った林間学校の写真はすぐに見終わってしまって、何かあったかなと写真一覧を眺めているとおにぃを発見する。
「これあたしのお兄ちゃん」
多分、半年前くらいに暇で撮ったやつだ。
リビングでゲームをしていたおにぃが、振り返ってピースしてる。
「……目? 似てる」
おにぃとあたしを見比べたモモはそう言って、「よく言われる」と笑いながら返した。
「モモは? 湊ちゃんと似てる?」
「あー……全然」
でしょうね。
なんて失礼なことを思うのは、あたしの中で湊ちゃんはだいぶ可愛いらしい女の子だからだったりする。
「性格も違う気がするなー」
「……まあ、うん」
否定しないとこを見ると、やっぱり真逆っぽいな。
湊ちゃんあんな手紙書いてくれるくらいだし、社交的なんだろうな――……。
「あっ!!」
モモが驚いたのをよそに、あたしはデジカメを置いて鞄の中からポーチを引っ張りだす。
「思い出して良かったー! 家に帰るまで絶対気付かなかったよ」
何事かとあたしを見ていたモモに笑いながら、手に持った小さな紙袋を差し出した。