お前じゃない
「うっ、うわーーーーーーーっ!!」


 ハルは叫び声を出すと、持っていたヨーグルトとスプーンを床に落とした。 

 食堂のテーブルに突っ伏して、顔だけを扉に向け、目を開いたまま久美子が死んでいたのだ。テーブルには、久美子が食べかけていたであろう、ヨーグルトが置いてある。

 愕然としたハルは力が抜け、へなへなとしゃがみ込んだ。

 どのくらいそうしていただろう。思考が働きを取り戻すまで、しばらく時間を要した。

 もしかして、ヨーグルトに毒が入っていたのか? 久美子さんが殺されたとしたなら、犯人はポッコリ殿しかいないじゃないか!

 ハルは立ち上がると、急いで階段を上り、ポッコリ殿の部屋を躊躇せず開けた。


「うわーーーーーーーっ!!」


 ハルはまたしても大きな叫び声を出すと、後ろに尻餅をついた。 

 ポッコリ殿がネクタイで首を吊って死んでいる光景が目に映ったからだ。

 ハルは腰を抜かし、呆然とした。

< 31 / 36 >

この作品をシェア

pagetop