お前じゃない
 どのくらい経っただろうか。ハルはふと思った。

 何で僕だけ殺されなかったんだろう? 

 そしてハルはゆっくり立ち上がると、机の上には、白い紙の様な物が置かれているのが見えた。ふらふらと近づき、白い紙の様な物を手に取ると、それは封筒で、表には遺書と、ポッコリ殿の見慣れた字で書いてあった。

 そして、ハルは封を開け、中に入っている紙を取り出すと、読み始めた。

 しかし、ポッコリ殿の遺書を読んだハルは、そのあまりにも衝撃的な内容に力が抜け、その場にしゃがみ込んだ。

 しばらくして、ハルは遺書を持つと、ズボンのポケットにねじ込み、自分の荷物を取りに行き、一人で別荘を出た。

 まだ昨夜の雨が乾ききっていない、ぬかるんだ道をふらふらと、遠のく意識を何とか保ちながら、歩き続ける。

 土砂崩れの場所まで辿り着くと、


「あそこに人がいるぞ! お〜い大丈夫か〜?」


 作業員の人達が、ハルの姿を見つけ声をかけてきた。

 ハルは視線も定まらず、心身限界だったのだろう、そこで倒れた。
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