虹の都へ
言われたあたしは、よくわからない。

一体何があったと言うんだろう?

あたしの心の中を読みとったのか、はたまたあたしがそんな顔をしていたのか、
「高橋、泣いてるから…」

柊くんが言った。

「えっ…?」

慌てて指で頬に触れる。

そこには、濡れた感触が。

「ヤダ…」

気づいてぬぐうと、手が濡れた。

思い出したのは、先ほどの光景。

それに刺激されるように、涙があふれ出す。

ぬぐってもぬぐっても、涙はあふれる。
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