虹の都へ

複雑な気持ち

見あげると、懐かしい我が家がそこにあった。

「ここが瑞希ン家なんだ」

我が家を見つめながら、虹が言った。

「うん。

ちょっと、狭いけどね」

あたしは笑った。

待ちに待った日曜日のお昼。

あたしは虹と一緒に実家に帰ってきた。

「連絡しなくてもよかったのか?」

虹が言った。

あたしたちがここにくることを、お母さんには連絡していないのだ。

「いいの」

あたしは言った。

「お母さんを驚かせたいから」

そう言うと、あたしはチャイムを押した。
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