トランプ帝国記
それは、気持ちが悪いくらいよく晴れた日だった。


曇りの多いこの街には珍しい。


日が沈み辺りが薄暗くなってきた頃。


リアはいつものように団員の証である真っ黒の服に着替え、仮の基地から外へ出て、今日のミッションを頭の中で描く。


そしていつの間にか、スフィアのこと、施設のみんなのことが浮かんでいた。


気が付くころには、まわりは真っ暗になっていた。


そろそろ、団員との約束の時間だ…。






場所は2つ街を隔てた、貴族たちの豪邸が並ぶ街。


片隅の、庭にマーメイドの像の巨大噴水のある家だ。


周囲を高い頑丈なコンクリートでかこってある。


リアは裏から高い壁を越そうとした。


周囲を確認した後、横の木から壁へ飛び移り、庭へ入ろうとした。


そのとき――…、


「!!!」


リアは突然眩しい強い光を受けた。


目が眩み、動けない。


「知らせの通りだったな。まさかのこのこ一人で忍び込んで来るとは」


「―…」


光がだんだん弱くなるとやっと相手を確認できた。


見るとそれは、何十人もの警察と、一人の探偵だった。


―――顔を見られた…!!!

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