トランプ帝国記

気が付くと、リアはベッドの上で横たわっていた。


カーテンは閉めてあり、湿っぽく暗い。


目に入ってくるのは、木でできた温もりのあるタンスや机。


目線をすぐ横にやれば、流した涙で髪が濡れ、シーツは湿っていて冷たい。


さっきあったことが、全てが、夢ならいいのに――…。


けれど、現実だとちゃんとわかっていた。


映画のワンシーンをスローで再生してるような、スフィアの最期。


頭に、胸に、焼き付いて離れない。


何時間もリアは起きることなく、ただ一点を見たまま時間が止まったように過ごした。




キイイイ…




だれかが、入ってくる音がする。


「……入るぞ…?」


リアは寝た状態のまま、入ってきた男を睨むように見た。


男はゆっくりリアに近寄る。


睨みつけてくる強い視線を感じながら、リアを向く。


「…具合は?」


「………」


「長い時間寝てたよ。よほど疲労してたんだな。…それと、ショックで」


「――…何で?」


「…」


リアの問いかけに今度は男が黙る。


堪えられず勢いよく起き上がる。


「何で助けたの?!私を!何でスフィッ…」

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