トランプ帝国記
突然銃声が辺りに鳴り響いた。


その場で一瞬固まるリア。


恐る恐る後ろを振り返ると、いつか見た顔が半笑いを浮かべ立っていた。


その周りには、どこに隠れていたのか、数人の警察が銃を構えている。


言葉が出ない。


「やはり外へ逃亡するつもりだったか。門前を見張って正解だったな」


探偵の言葉で我に返り、スフィアを自分の後ろに隠す。


「首から上を傷つけるなよ。」


その言葉を合図に一斉に安全装置を外す音が聞こえる。


リアはまた門に向かって叫んだ。


「お願いっ!!!開けてええ!!!」


「どけっ!!」


目の前にいた門番がなぎ倒される。


そこから、若い男の険しい顔が見えたかと思うと、リアは強い力で腕を引っ張られていた。


何が起きたかわからなかった。


パンパン…パパアン………



はっとして後ろに手を伸ばし叫んだ。


「スフィアアァ!!!」


倒れていくスフィアの姿が、やけにゆっくりと見えた。


周りが一瞬止まったように感じた。


リアが戻ろうとしたとき、手を引いた男に庇われるように門から遠ざけられる。


「……いやああああ!!!!」
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