キスミー★チョコレート
…やっぱり。
「ちょっと…優一!勝手に高等部来たらダメって…毎年言ってるでしょ!」
そう、声の主は
あたしの弟、優一。
「姉ちゃんも、毎年それ言ってよく飽きねえな!?」
もぉ〜!あぁ言えばこう
言う!
一瞬ニヤリと笑ったかと思うと、肩に大きな袋を担いで、
優一が教室にずかずかと入ってきた。
「何だアイツ?」
「あやかちゃんの弟だって!」
「ちょ、弟かっこかわいいじゃん…!」
「おい、知ってるか?弟のあだ名」
廊下のざわめきが優一のせいでヒートアップ。
「あれ!?やあやあやあっ!“バレンタインの王子”じゃないかぁーっ!」
教室の中央で、あたしに向かい合ってる優一に話しかけ…いや、叫びかけたのは、
缶ジュースをブンブン振り回したままの、由紀。
「…バ?」
「バ、」
「バ、」
「バ、」
「「「バレンタインの王子ぃ〜!?」」」
廊下のみんなが口を揃えて言った。