現実RPG2
スケット
拓馬は、悩んでいた。


このまま適当に歩いていても、スケットとばったり会うという確率はかなり低い。


それよりも、先にモンスターに遭遇してしまう確率の方が遥かに高い。


武器も防具も、魔法の切り札も無くなった拓馬にとって、次にモンスターに遭うことは死を意味する。


つまり、このままでは、死ぬのは時間の問題だ。


「どうしたらいい……」


こうしている間にも、モンスターたちは街中を彷徨っているはずだ。いずれ、見つかってしまう。


悩んだ末、拓馬に一つの考えが浮かんだ。


もう一度、竜太に接触してみてはどうだろうか。


確かに、竜太は敵だ。リスクは高い。だが、未だに味方を演じている。


それならば、こっちも騙されているフリをして、このゲームのイロハを聞けるだけ聞き出す。


それしか、今回のスケットを見つけることはできない。


危険だが、このまま適当に歩いているよりはマシだ。


勝負に出るしか、生き延びる方法はない。


「竜太のところへ行こうか」


ニコッと笑って、クロの頭を撫でる。


拓馬はクロを抱えたまま、竜太の家へ歩き出した。


そのときだった。前方に、人影が見える。
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