仕事先はメイドさん
時間は夕暮れ・・・
舞が家を出てからもう少しで三時間になろうとしていた。
外はもう4月の中旬だと言うのに、凍えるように寒い。
舞は家の近くにある商店街を見て回っていた。
商店街だったら店が立ち並んでいるので一つくらいは求人をやっているだろうと思い商店街に来たのだが、なかなか求人はやっておらず、ブラブラとそこらを見て回っていた。
たまに見つけた求人は規定が合わずに断られてしまうばかりだった。

「はぁ、疲れた・・・こんなに歩いてたら足がパンパンになっちゃうよ」・・・そう呟き、近くの石段に腰を下ろす。
正直、彼女・・・西森 舞(にしもり まい)はあまり会社が倒産して、生活が大変になる・・・という実感はあまりなかった。
舞は昔から根は真面目でしっかりしていたが、あまり物欲がなかった。
昔から勉強勉強を繰り返して来たので、物や服、恋愛などに、あまり興味がなかった。
なので今はこんなモノグサな性格になってしまっていた。

「よい・・しょっと」
舞はもう一度求人がないか見て回ろうと立ち上がる。
だが、長時間座っていたせいか足元がおぼつかない。
ついには倒れこみそうになった。
ドン!
と、肩と肩がぶつかってしまい、舞は倒れこむ。
急いでぶつかった人に謝ろうとするが、舞は思わず固まってしまった。
ぶつかった相手の男は、両耳にピアスを3つ開け、人相の悪い16~17くらいの男だった。
その男が凄い眼力で睨んでいた。
「おい、てめぇ人にぶつかっといて、ごめんなさいもなしかよ!」
男は舞に詰め寄ると胸倉を掴み、また凄い眼光で睨んでくる。
「あ、ごめんなさい」
舞も改めて相手に謝るが、男は掴んだ手を緩めてはくれなかった。
「あぁ!?なめてんのか!?・・・・てめぇ、よくみりゃいい女じゃん・・・ちょっと、ぶつかったお詫びとして付き合えよ」
アレ?なんかヘンな方向に話しが進んでるぞ!?
私・・・ヤバイ?
他の通行人は心配そうな顔をするが一向に助けてはくれない。
まぁ、大体の人が助けたいけど怖いので助けれないだろう・・・
私が男の手を振り解こうとしたとき・・・
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