仕事先はメイドさん
「や・・・やめろよ!」
そう叫んだのは、黒縁眼鏡をかけて天然パーマの青年だった。
あれは・・・確か学校で隣のクラスの山田 仁志(やまだ ひとし)君だった。
男は山田君をチラっとみると、興味をないというように私に向き直った。
「早く来いよ!お前がぶつかってきたんだろぉが!!」
私の胸倉を掴む男は、その手を緩めることなく山田君を無視し、また私に絡んでくる。
それを見て山田君は男に駆け寄る。
そして・・・・
「西森さんから離れろ!!」
劈くような大声で言った。
男は私の胸倉を掴んでいた手を緩める。
あまりに男がいきなり放すので、私はその場に座り込んでしまった。
男は山田君に詰め寄り、顔を覗き込むと、私に最初に見せた鋭い眼光を山田君に向けた
「お前・・・なんだ?」
漠然とした質問に山田君は口ごもる。
「ぼ・・・ぼくはに、西森さんと同じ学校の山田・・・です」
恐怖から山田君は敬語になってしまっていた。
腰も引いている。
「へぇ、じゃあこの西森さんを助けに来たってわけか・・・・・・やってみろよ!」
男は拳を振り上げる。
山田君は身を縮めてしまう。
男の拳が山田君に直撃しようとした瞬間・・・・
「いたぞ!捕まえるんだ!」
突然を人ごみを割って、黒ずくめの男が2~3人が走ってきた。
男は山田君を殴ろうとした手を止め、「チッ!」と舌打ちをして走り出した。
それを黒ずくめの男が追い、あっという間に男は見えなくなった。
な・・・・なんだったの?
困惑している舞は、山田君のことを思い出し、駆け寄る。
「あの~大丈夫ですか?」
そう尋ねると、山田君は「あ、ああ・・西森さんが無事なら大丈夫さ」と言って立ち上がる。
家まで送っていこうか?とたずねると山田君は大丈夫という風に手を振った。
「自分で帰れるから平気さ・・・・それより西森さんは怪我ない?」
「あ・・・うん」
それを聞くと山田君はホッと息を吐く。
「あの、山田君・・・ありがとうね」
私が言うと、山田君は「あ、ああ、当然のことをしただけだよ」と言い、顔を背けて星って行ってしまった。
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