ミッドナイト・スクール
……カチャリ。
後藤はカギの束から、赤色の印のついたカギを取り出して扉を開けた。
「よし、ここから職員室まで行けるぞ」
声を潜め、暗い廊下を見渡す。
「早く警察に連絡して、ここを出ようよ」
傍らでは、悠子が後藤のシャツを引っ張り、駄々をこねた子供のような声を出す。
「しっ、静かに。例の怪物は、この階にいるかも知れないんだぞ」
人差し指を立てると後藤は小声で話す。
……二人は地理室を出た後、北側の出入口から体育館への渡り廊下を通って管理棟へと移り、非常階段から生物室前の廊下へと入り込んでいた。
廊下の非常灯の明かりが、なんとも頼りない。
目が慣れると、職員室へ向かって二人は歩きだした。
「そうだ、何か武器を持つのもいいかも知れないな」
「武器なんて何処にあるのよ」
後藤の突然の提案に、目をパチクリさせて悠子が言う。
「へへへ、それがあるんだな」
そう言うと、後藤は準備室のロッカーを開けた。
「確かここに……おっ、あったあった」
そう言ってロッカーから取り出したのは、ゴルフバッグだった。
「何これ、何でこんなもんが学校のロッカーにあるのよー」
「へへへ、生物の村角先生さあ、ゴルフ好きなんだけと、家にクラブを置いとくと、奥さんに捨てられちゃうんだとさ」
「だからって普通、教師がこんな事する?」
悠子にとっては、教師の事情なと知ったこっちゃない。
「今は非常事態だ。細かいこと言うな。よし、俺は7番アイアンだ。自慢じゃないが先生な、7番アイアンを使ったグリーン乗せが得意なんだぞ」
「はいはい」
冷たく受け流すと、悠子もクラブの思案に入る。
「なんだ、お前も持つのか。お前なら短いクラブでS・Wか、パターにしとけよ」
「ふーんだ」
バッグからパターを引き抜くと、悠子はロッカーを閉めた。
「うっ、結構重いかも」
「だろう? いくらパターといっても本物のクラブ……」
ガサガサガサ。
後藤はカギの束から、赤色の印のついたカギを取り出して扉を開けた。
「よし、ここから職員室まで行けるぞ」
声を潜め、暗い廊下を見渡す。
「早く警察に連絡して、ここを出ようよ」
傍らでは、悠子が後藤のシャツを引っ張り、駄々をこねた子供のような声を出す。
「しっ、静かに。例の怪物は、この階にいるかも知れないんだぞ」
人差し指を立てると後藤は小声で話す。
……二人は地理室を出た後、北側の出入口から体育館への渡り廊下を通って管理棟へと移り、非常階段から生物室前の廊下へと入り込んでいた。
廊下の非常灯の明かりが、なんとも頼りない。
目が慣れると、職員室へ向かって二人は歩きだした。
「そうだ、何か武器を持つのもいいかも知れないな」
「武器なんて何処にあるのよ」
後藤の突然の提案に、目をパチクリさせて悠子が言う。
「へへへ、それがあるんだな」
そう言うと、後藤は準備室のロッカーを開けた。
「確かここに……おっ、あったあった」
そう言ってロッカーから取り出したのは、ゴルフバッグだった。
「何これ、何でこんなもんが学校のロッカーにあるのよー」
「へへへ、生物の村角先生さあ、ゴルフ好きなんだけと、家にクラブを置いとくと、奥さんに捨てられちゃうんだとさ」
「だからって普通、教師がこんな事する?」
悠子にとっては、教師の事情なと知ったこっちゃない。
「今は非常事態だ。細かいこと言うな。よし、俺は7番アイアンだ。自慢じゃないが先生な、7番アイアンを使ったグリーン乗せが得意なんだぞ」
「はいはい」
冷たく受け流すと、悠子もクラブの思案に入る。
「なんだ、お前も持つのか。お前なら短いクラブでS・Wか、パターにしとけよ」
「ふーんだ」
バッグからパターを引き抜くと、悠子はロッカーを閉めた。
「うっ、結構重いかも」
「だろう? いくらパターといっても本物のクラブ……」
ガサガサガサ。