ミッドナイト・スクール
「いやあ、私はまだ死にたくない!」
突然、悠子はユリをはね除け、管理棟の方へと走り去って行った。
「ゆ、悠子!」
後藤が止めようとした時にはもう遅かった。廊下の角を曲がった悠子は見えなくなった。
「な、ど、どうしちゃったのかしらあの子、私をまるで化け物でも見るような目で見てたわ」
ユリは振り返ると、心配そうな表情をした。
「やっぱり悠子は錯乱してるんだ。早く見つけなくては何をするか分からないぞ」
ユリを起き上がらせると、和哉は後藤に更に詳しく悠子に起こった話を求めた。
「……という事は、悠子はギロチンの恐怖に怯えているという事なんだな。早く捕まえて正気に戻さなきゃ」
バットと、ボールの袋を持ち上げ、歩きだそうとした和哉は、再びあの足音を聞きつけた。
ヒタッ……ミシッ……ヒタッ。
「まずいな、奴のお出ましだ」
とっさに身構える和哉。
……ヒタッ、ミシッ、ヒタッ。
「信二先輩……」
魅奈は信二の腕を抱き込み、震え出す。
次第に近づいてくる例の怪物の足音。しかし、今回は前と後ろどちらから来ているのかが分からなかった。
暗い廊下の前後には何の影もない。しかし、不気味な足音だけは遠くから聞こえて来るようだ。
数十メートル先からか、それとも数メートル先からか。足音は近づく……狩りをする怪物は確実に信二達を狙っているのだ。
……何かがおかしい。
校舎から感じるただならない雰囲気に、文彦は不安を隠せなかった。
「どうしたんだ文彦?」
「……うん、さっきの怪物みたいなのが気になって」
種田はうかない顔をする弟に言った。
「あれは何か獰猛な動物か、凶悪な殺人鬼に違いない。こんな所に長くいたら命が危なくなるかも知れないし、警察沙汰にでもなったら後々面倒だぞ」
面倒な事を嫌う種田らしい考えだった。
しかし、文彦にとっては、これは人知を越えた異常な事件のような気がしてならなかった。
突然、悠子はユリをはね除け、管理棟の方へと走り去って行った。
「ゆ、悠子!」
後藤が止めようとした時にはもう遅かった。廊下の角を曲がった悠子は見えなくなった。
「な、ど、どうしちゃったのかしらあの子、私をまるで化け物でも見るような目で見てたわ」
ユリは振り返ると、心配そうな表情をした。
「やっぱり悠子は錯乱してるんだ。早く見つけなくては何をするか分からないぞ」
ユリを起き上がらせると、和哉は後藤に更に詳しく悠子に起こった話を求めた。
「……という事は、悠子はギロチンの恐怖に怯えているという事なんだな。早く捕まえて正気に戻さなきゃ」
バットと、ボールの袋を持ち上げ、歩きだそうとした和哉は、再びあの足音を聞きつけた。
ヒタッ……ミシッ……ヒタッ。
「まずいな、奴のお出ましだ」
とっさに身構える和哉。
……ヒタッ、ミシッ、ヒタッ。
「信二先輩……」
魅奈は信二の腕を抱き込み、震え出す。
次第に近づいてくる例の怪物の足音。しかし、今回は前と後ろどちらから来ているのかが分からなかった。
暗い廊下の前後には何の影もない。しかし、不気味な足音だけは遠くから聞こえて来るようだ。
数十メートル先からか、それとも数メートル先からか。足音は近づく……狩りをする怪物は確実に信二達を狙っているのだ。
……何かがおかしい。
校舎から感じるただならない雰囲気に、文彦は不安を隠せなかった。
「どうしたんだ文彦?」
「……うん、さっきの怪物みたいなのが気になって」
種田はうかない顔をする弟に言った。
「あれは何か獰猛な動物か、凶悪な殺人鬼に違いない。こんな所に長くいたら命が危なくなるかも知れないし、警察沙汰にでもなったら後々面倒だぞ」
面倒な事を嫌う種田らしい考えだった。
しかし、文彦にとっては、これは人知を越えた異常な事件のような気がしてならなかった。