St. Valentine's Dayの奇跡



そこには、あのステンドグラスに描かれたセントバレンタインの姿と寸分違わぬ絵があった。



ただ、彼が胸に抱いていたのは、小さなハートが詰まった籠ではなく、

そう、私が手に持つ小瓶。


正に寸分たがわぬ形の小瓶だったのだ。


「この絵をステンドグラスの下絵に書き写す折、この小瓶の意味が分かりにくいということで、小さなハートが詰まった籠に置き換えたのです。

恐らくこの小瓶は、彼が結婚の儀の折に使った聖水を入れたものでしょう」


「これがもともとの姿?」

「そうです」

「あの矢を射るキューピットも、その時書き加えられたんですか?」

「そうです。

その頃既にセントバレンタインのイメージは、愛のキューピットということで広まっていましたから。

サンタクロースのあの衣装もしかり。

やはりイメージが大事ですからね」


その時のあたしの顔は、正に鳩が豆鉄砲を食らったような呆けた顔だったと思う。



だって、流石に鈍いあたしにも、神父様の示す意味が分かったから。
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