異常人 T橋和則物語
「いいたいことはわかってるよ。なにせ俺がこの和則を救うんだからな。やつはピザが好き。俺もピザが好き。オニオンとキムチのやつが好き。だろ?」
和則は途方に暮れて押し黙った。オニオンとキムチの言葉の意味がわからなかったからだ。なにせ、ウォーター(水)という小学生低学年でも知っている英単語を三日かかってやっと覚えた程度の知能しかないのだ。
セロンは携帯が礼拝堂では繋がらないので、外に出た。そのとき「和則、Lサイズを頼むからな。飲み物は何にする?コークか?ビールか?」といった。肩越しに「お前は水かい?」といって微笑んだ。
和則はミッシェルと二人きりになったが、彼にとっては彼女は存在しないも同然だった。和則は途方にくれ、またもズボンに手をかけはじめた。
「ダメ!和則!そこはトイレじゃないのよ!」
「看護婦さん…看護婦さん…」和則は心細げに叫んだ。ここはどこだ。病院じゃない。変だ。変なことばかりだ。パニックが高まり、広まり、いまにも彼を呑みこんでしまいそうだ。
「看護婦さん…看護婦さん!」和則は叫んだ。「看護婦さん!」しかし、飛んできてすべてを介護してくれる看護婦さんはどこにもいない。知らない連中がいるだけだ。
「セロン、彼、おびえてるわ」ミッシェルが小声でいった。「このさい、やっぱり…」
その瞬間、セロンが戻ってきて、「和則!」といった。そして続けて「みずって英語でなんていうんだっけ?」と尋ねた。
これはきいた。和則は発作をやめ、にやりと笑って「ウォーター」といった。
「へ~ぇ、頭いいじゃないか、和則」セロンは嘲笑を堪えながら、ほめた。
落ち着きをとりもどした和則は、礼拝堂で幼児向けの絵本を熱心にみていた。字はすべてひらがなだが、本当に読めているのかは疑問だった。和則にとって、絵本の中の出来事が現実なのだ。たとえ、それが幼児向けであれ、和則にはそれが現実なのだ。
和則は途方に暮れて押し黙った。オニオンとキムチの言葉の意味がわからなかったからだ。なにせ、ウォーター(水)という小学生低学年でも知っている英単語を三日かかってやっと覚えた程度の知能しかないのだ。
セロンは携帯が礼拝堂では繋がらないので、外に出た。そのとき「和則、Lサイズを頼むからな。飲み物は何にする?コークか?ビールか?」といった。肩越しに「お前は水かい?」といって微笑んだ。
和則はミッシェルと二人きりになったが、彼にとっては彼女は存在しないも同然だった。和則は途方にくれ、またもズボンに手をかけはじめた。
「ダメ!和則!そこはトイレじゃないのよ!」
「看護婦さん…看護婦さん…」和則は心細げに叫んだ。ここはどこだ。病院じゃない。変だ。変なことばかりだ。パニックが高まり、広まり、いまにも彼を呑みこんでしまいそうだ。
「看護婦さん…看護婦さん!」和則は叫んだ。「看護婦さん!」しかし、飛んできてすべてを介護してくれる看護婦さんはどこにもいない。知らない連中がいるだけだ。
「セロン、彼、おびえてるわ」ミッシェルが小声でいった。「このさい、やっぱり…」
その瞬間、セロンが戻ってきて、「和則!」といった。そして続けて「みずって英語でなんていうんだっけ?」と尋ねた。
これはきいた。和則は発作をやめ、にやりと笑って「ウォーター」といった。
「へ~ぇ、頭いいじゃないか、和則」セロンは嘲笑を堪えながら、ほめた。
落ち着きをとりもどした和則は、礼拝堂で幼児向けの絵本を熱心にみていた。字はすべてひらがなだが、本当に読めているのかは疑問だった。和則にとって、絵本の中の出来事が現実なのだ。たとえ、それが幼児向けであれ、和則にはそれが現実なのだ。