ランク国物語
 「ぐっ…。エレジー様はご無事だろうか…。」ヤースは敵の騎兵を見つけ、折れた剣を投げ、自らも走って近づいた。ヤースが投げた剣は、馬に跨がっている敵兵の背中に刺さり落馬した。ヤースは落ちてくる敵から武器を奪い、馬に跨がりエレジーともとまで駆けた。
 「エレジー様!ご無事で何よりです。」エレジーはほとんど体勢を変えておらず湖の中に手を浸けていた。
 「だいぶ…押されているようだな…。」
 「申し訳ありません。直ぐにでも戻って…。」
 「いや…その必要はない。」エレジーは立ち上がり、
 「一気に落とす。いいか?戦闘になったら、私から離れろよ。」
 「…分かっておりますぞ。ですが我々二人だけで大丈夫なのでしょうか?」
 「ふっ…二人ではない。100人を先行させている。もちろん、お前の指揮で動かせ。」ヤースは大きく溜め息をついた。エレジーは、その様子眺めながら一瞬微笑み、真顔になり、
 「いくぞ。」エレジーとヤースは氷の上を駆け、敵城へ向かった。
  「エレジー様!入口を作っておきました!」先行していた部隊の一人が、言えば、エレジーは頷き、ヤースの指揮下に入るように言い、エレジーは一人で入って行った。
 「派手に暴れ回る!わしに続け!」ヤース達も入って行った。ヤース達は入って真っ直ぐに進み、近くの塔に入った。
 「ここは…灯台か…?」ヤースが周りを見渡しながら呟けば、
 「当たらずとも遠からず…だね。ここは三つの塔に護られているんだよ。」壁に沿った螺旋階段から下りてくる足音と、ともに男の声が聞こえてきた。
 「どういう事だ?」
 「答えるわけないだろ。まぁ〜ヒントをあげるよ。」螺旋階段から下り終え、上を指差し、
 「上にレバーがあるからそれを…下ろすだけ、もしくはこの塔を消滅させることだね。」
 「……。答えてるじゃん。」ヤースの後ろから言えば、沈黙がおりてきた。暫くして螺旋階段から下りてきた男が、
 「聞かなかった事にしておいて(笑)」その場にいた全員が一斉にツッコミを入れた。
 「…では、上に行かせてもらうぞ。何もしなければ何もせん。」ヤース達が一歩踏み出そうとしたら、螺旋階段から下りてきた男の雰囲気が変わった。
 「そういうわけにはいかないんですよ。僕の実験の手助けをしてもらう代わりにこの塔を守護しなきゃいけないんだよ。」
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