ランク国物語
 「これで…満足なのか。お前は仲間を何だと思っているんだ。お前は何をしようと…。」エレジーは合わせていた手を開き、手と手の間から凍りのドラゴンが現れ、氷を撒き散らしながらレイジリアンに襲い掛かった。エレジーの両腕が凍り付き砕けた。エレジーの放ったドラゴンはレイジリアンは凍らせた。タガールの右手は輝きだし、タガールはレイジリアンの所に走り出した。誰もがとどめを刺すかと思ったとき、
 「奴を止めろ!」弱々しいがはっきり聞こえる声が響いた。
 「もう…遅い!」タガールはレイジリアンの胸を貫く前に吹き飛んだ。
 「スターツ!」タガールは右手首を押さえながら睨みつけた。レイジリアンの氷の像は闇に包まれ、集束し、消え去った。
 「タガールよ。何をしようとしたのだ?」
 「過去の精算だ。」スターツに支えながら歩いて来たフェイが、
 「いいや。違うね。お前は『無』を手に入れようとしていた。それは過去の精算ではなく、過去の過ちであり、我々が持って生まれた業だ。」タガールは唇を噛み締めながら俯いていた。
 「フェイ殿!言われた物を持って参りましたぞ!」声のする方を見ればヤースやランスその他大勢が走ってきた。フェイは火手を上げて答えた。
 「代々『光』を受け継いでいた者達の野望が潰えたな。」
 「いやいや。そんな事ないさ…。」タガールは、光の矢をスターツにめがけて放った。矢はスターツの心臓を貫き通した。フェイは支えを失いスターツと共に倒れた。
 「君達がいなくなってくれさえすれば、叶うんだよ。フェイ…エレジー…後でゆっくり殺してあげるよ。」ラックとラードは同時に技を繰り出した。タガールはバラバラに散った。が、ラックとラードの後ろから、
 「どこを狙っているんだ?人が物を判別するには光があるからなんだよ。だから、少しでも光をいじれば…自分で見えている景色が正しいともかぎらんだろ?」ラックとラードが振り向くと、光の矢が見え胸を貫いた。
 「エレジー。…生きているかい?」エレジーは下を見ながら、
 「お前は何がしたいんだ…。」
 「その時が来れば、分かるよ。力を貰うよ。」タガールはエレジーの肩に触れ、エレジーは倒れ込んだ。タガールは両手を空にかざし辺りを優しく包むように光が広がった。タガールは目を閉じながら、
 「フェイよ。力は残ってないんだな?」
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