ランク国物語
 「あれは何なんだ…。」エレジーはレイジリアンを見ながら呟いた。いつの間にか隣に来ていたタガールが、
 「あれは、『無』の第二段階…。羽以外は変わらないけれど、あの羽は…。あの羽で風を起こされた場合、一瞬に切り刻まれるだろうな。」
 「…そうか。私にあの羽を使えないように凍らせろって言いたいのか?」タガールはびっくりした顔で、
 「何で分かったの?さては、エス…。」
 「黙っていろ。」タガールは口を真一文字にしながら頷いた。そして、タガールの気配が消えた。
  レイジリアンは空中で一通り見て、
 「まず…『火』を返してもらおうか。」振り返ると同時に急降下して、手をかざした。フェイは小さい火球を左手だけであっちこっちに浮かべながら飛び去り、右腕を軸に炎が纏いその形はランスのようになっていた。フェイとレイジリアンの距離が手を伸ばせば届くぐらいになった時、フェイは右腕を突き出し纏っていた炎のランスを突き刺し、その場を急いで離れた。レイジリアンは火だるまになっていた。フェイは様子を見ながら離れていると、フェイは突風で飛ばされた。フェイがいた場所の落ち葉が舞急に消えた。
 「足元にも気をつけろ。」フェイは片手を上げ、答えた。レイジリアンを覆う炎は消えていた。が左脇腹付近の肉がえぐれていた。フェイが追い撃ちをかけようと右腕を上げようとしたが、ある事に気付いてしまった。フェイの右腕が失くなっていたのだ。レイジリアンは微笑みながら、
 「返してもらったぞ。感謝の気持ちだ…。受け取ってくれ。」レイジリアンは右手に炎を溜め、一瞬に炎が鳥を形作りフェイに飛びかかった。フェイは一歩も動けずに直撃し、大爆発した。
 「次は…『水』だ。」レイジリアンは両手をエレジーに向けると、エレジーの周りに火球が浮かび出てエレジーに襲い掛かった。エレジーは一つ二つと打ち消しながら、防御膜を張った。
 「そんな…軟弱な膜で守りきれるはずがないだろう!」レイジリアンは邪悪な笑みを浮かべた。レイジリアンの周囲から炎が現れ、鳥の形になった炎は、飛び出した。エレジーは両手を合わせながら、
 「私を誰だと思っている…。その程度の炎など一瞬に凍り付く!」エレジーはタガールをチラ見して誰にも聞こえないような音量で、
< 36 / 39 >

この作品をシェア

pagetop