SleepingBeauti
二月も終わりかけた、ある日、ぼくは、初めてみずきと向き合った。

下校途中、ぼくは踵を返すように、不意に振り向いた。

「あのさ、ぼく、明日から学校に行かないんだ」

みずきは何が言いたいのか、理解できず、キョトンとした表情をした。

「出席日数足りてるし、行く理由がないから。だから、もうみずきとは会えないと思う」

みずきはうつむいた。

少しの沈黙のあと、みずきは拳をにぎりしめていた。

「それは、別れてくれって言ってるのですか?」

「いや、そう言うわけじゃないんだけど、そうとってもらってもかまわない」

本当に嫌な言い方だ。

自分勝手すぎて吐き気がするくらい。

「先輩は………先輩はわたしの事、何だと思っているの?、わたしは―――先輩の過去を知っているから、先輩の態度も理解しようとした。納得できない思いも、いっぱいあったけど、わたしはいつか、先輩が、優お兄ちゃんが、昔みたいに優しいお兄ちゃんに戻ってくれる事を信じて、いっぱい我慢したのに―――それなのに、なんだったの?。あお姉ちゃんが亡くなって悲しい思いしたのは、優お兄ちゃんだけじゃないの」

罵声というより悲鳴だった。
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