SleepingBeauti
ぼくはあえて、みずきに席を促さなかった。

仕事初日で疲れているのは、表情をみても、わかったから。

「帰ろうか」

みずきは少し曇った表情をした。

「送るから、一緒に帰ろう」

そう言うと、みずきは安心したのか、表情が明るくなり、「はい」と、言った。

みずきにどんな意図があろうが、もう、どうでも良くなっていたし、みずきは幼なじみであり、お姉ちゃんが可愛がって仲良くした女の子であり、ぼくを本当に心配してくれた女の子なのだから。

そう、みずきは、敵じゃない。

本当の敵は、ぼくの弱い心だけなのだから。
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