SleepingBeauti
喫煙室に置かれた自動販売機でコーヒーを二つ買った。

一つをみずきに手渡した。

「ありがとうございます」

みずきは入口に佇んだままで、席に着こうとしなかった。

みずきは昔からこうだった。

三歩、後ろを歩くというのか、遠慮しがちなのか、ぼくが席をすすめないと席に着かないんだろうな。

でも、そのことがぼくの警戒心を和らげるのは、確かだった。

とても、懐かしい気持ちになる。

ぼくは、少なからず、みずきの事を好きだったと、思いかえらせてくれた。

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