SleepingBeauti
意外な方向から河内百合はやってきた。

もうしわけなさそうに俯いて。

おりるはずのバス停を通りこして、くるはずだった逆方向からやって来たのだ。

「ごめなさい」河内百合とのぞみの言葉がかぶる。

「わたしのほうが悪いから」のぞみは言った。

「そんなことないよ、わたしのほうが悪い」河内百合も言う。

それに、河内百合は言った。

「それに、わたしは二人に気付いていた」と言った。

気付いていたから、勇気を出したのと言った。

それから河内百合は自宅にぼくたちを招いた。

話しを聞いてもらいたいからと、話しをしたいからと言って。
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