SleepingBeauti
「父ね、もう長くないみたいなの、だから母が会ってやってくれないかって、謝りたがってるからって」泣きながらか細い声で言った。

「あわないの?」のぞみがきいた。

「いまさら、会えないよ。家庭を壊して、逃げたわたしに会う資格なんてないよ」

「そんなことない」ぼくは強い口調で言った。

そんなことない。

「会える相手がいるだけでも、いいじゃないか!もう許してるんなら、会いにいくべきだよ。会えなくなって後悔しても、どうしようもないんだ」

そうどうしようない。

謝りたい相手も謝られる相手も、死んでしまえば、どうすることもできない。

例え仏前に何度、謝って、謝って心の底から謝っても、何もかえってこないんだ。

そして後悔を一生、背負って生きていかなくてはならないんだ。

そんな思いをしてほしくないと思った。

だから、つい、自然と強い口調で言った。

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