SleepingBeauti
四十代後半といったところだろうか?

一見しただけならもっと若く見えたが、めのまえに立つ男性には、それなりの苦労の色がみえる。

男性は会釈すると、ぼくに「白川くんだね」と言った。

それから、間をおいて

「三浦です」と言った。

のぞみの父親であることは想像できた。

だけど、彼は二度、三浦ですと名乗った。

ぼくに三浦と言う名前を思いださせるために。

世界に何人の三浦と言う苗字がいたとしても、目の前にいる三浦だけは、ぼくはどうしても、何があっても、決して忘れてはいけない。

だって、姉を直接、殺した人物なのだから。

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