SleepingBeauti
三浦と名乗った男性は、自分の車に振り返り、のぞみを見てから、言葉を発した。

「ぼく、いや、私たちは会うことはないと思っていた。会うべきじゃないと………そう考えていました。君は、わたしを目のまえにして、何を思っていますか？憎しみですか？」

憎しみと聞いてきた彼の顔は、悪びれることもなく、しっかりとぼくを見据えていた。

「あの日、わたし、私たち家族も苦しみを背負いました。周囲からは蔑まれ、のぞみはいじめをうけました。それでも私たち家族は、耐えてきました。罰を受けているのだからと。大切なお子さんの命を絶ってしまったのだから、どんな罰にも耐えていこうと。だけど、のぞみとあなたのことだけは、認めることは、できません。認めることはできない。なぜなら、一生、のぞみに罰を与えることになる。それだけは、父親として、ゆるせることではないのです」

何も言えない、いや、言わないぼくに、頭をさげ、男性は車に戻り、こちらを見ることなく、車をだした。

ぼくは、ただ、佇むことしか出来なかった。

心配そうな顔で、ぼくの手をしっかりと繋ぐ、みずきと二人で、のぞみを見送ることしか出来なかった。
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