SleepingBeauti
「引き止めなかった」

引き止めれる状況じゃなかった。

のぞみがもし、車から降りて、ぼくの元へ来ていたならば、或いは、引き止めていたかも知れない。

でも、父親の言葉を聞いて、何も言えずにいたぼくには、引き止めることなどできはしなかっただろう。

「そう、引き止めなかったんだ。それは、ゆるせないから?」

「かも知れない」

「嘘ね。後悔してるから、わたしに電話したんでしょ?ねえ、白川くん、人は許すことよりも憎むことのほうが、難しいと思わない?」

「えっ」

「わたしは父を憎んでいたわ、でも実際は違ったの、憎んでいると思いこんでいただけだった。白川くんもそうじゃないの?思いこんで、目の前の出来事から目を背けて、逃げているだけじゃないの。それに………のぞみさんの事も考えてあげてね。すべてを知っても白川くんのそばにいようとした彼女の気持ちも」

そう言うと高知百合は「後悔しないようにね」と明るく言った。

頑張ってっと言ってるように。
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