SleepingBeauti
山下の当て付けが、ぼくに向かった原因はもっと確固たる言動が、河内百合の口から発せられることになる。

何気ない日常でそれは起こった。

山下は休日前になると、必ず、河内百合をデートに誘っていた。

当然、蜃気楼を掴めるわけもなく、河内百合はそこに何も存在しないかのような態度で無視を続ける。

だけど、その日にかぎり、山下のしつこさは尋常ではなかった。

後になって知ったことなのだが、河内百合の誕生日のために、前以て、レストランの予約から、デートコース、はては、ホテルまで予約していたのだ。

そのため、普段では、やらないようなことを山下はしてしまうのだった。
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