SleepingBeauti
彼女の名前は三浦のぞみ。

何度も挨拶を交わすうちに名前ぐらいは知りたいと思い、彼女の玄関に掛かったネームプレートをのぞき見して知ったのだった。

そののち、ちゃんと彼女の口から自己紹介をうけるのだけど、それは冬になってからのことになる。

彼女と挨拶を交わすと、ぼくは部屋に入り、ベッドに横になった。

唯一、実家から持ってきた二段ベッドの上に。

一段目にもちゃんと布団は敷いてある。

だけど、下で寝ることは、ここ何年もしていない。

正確にはあの日から、使っていない。

ぼくの寝かたも俯せのままだった。

いまとなっては形見となってしまった枕を抱いて眠りについた。
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