SleepingBeauti
部屋に入るなり、のぞみは、ぼくの携帯を取り上げた。

正確に言えば、火燵に置いていた携帯を取ったのだけど。

のぞみはメモ帳を取り出すと、ぼくの携帯になにやら打ち込んでいた。

「なにしてんだよ」ぼくがそう尋ねると、のぞみは「河内さんの番号とアドレスを登録してるの」と、言った。

「自分の携帯にしろよ」

「わたしの携帯、とまってるもん」のぞみはサラっと言った。

普通に考えれば、のぞみの携帯がとまってるのは普通のことだ、だけど、ぼくには意外に思えた。

携帯などといったものは、のぞみみたいな女の子には必要不可欠な物だと、思っていたから。

家賃よりも、そういったものにお金をかけているものだと思っていた。
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