SleepingBeauti
出店を一回りしても、新しい年を迎えるには、まだ時間があった。

午後十時を少しまわったぐらいだった。

辺りは人がかなり増えて、一歩を歩みを進めるのにも苦労するようになっていた。

「ねえ、どこかに入らない?」人の多さに嫌気がさしたのか、のぞみが言った。

振り返り、河内百合の姿を見ると、どこか疲れたような表情していた。

実際、ぼくも人込みは苦手で、のぞみの意見に大賛成だった。

のぞみだけなら、ぼくが先に言っていただろう。

河内百合に変な気をつかい、言い出すことができずにいただけだった。

河内百合も同じ思いだったのかも知れない。
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