渇望
響いたのは、男の声。


目前の彼はそれに弾かれたように、顔を向ける。



「お前、煙草買うだけで何時間掛かってんだよ!」


歩み寄ってきたのは、咥え煙草でサングラスを掛けた怪しい男。


けれどもその姿に、あたしは驚きを隠せなかった。



「って、百合?」


瑠衣だった。


と、いうか、あたしの名前を覚えていたのは意外だけれど。


まぁ、この街にいては、こんな再会も大した偶然ではないのかもしれない。



「瑠衣、この子と知り合い?」


「つか、お前ら何やってんだよ?」


「俺、ぶつかっちゃってさ、怪我させちゃったかもなんだ。」


「は?」


そっちで話を進めないでほしい。


瑠衣と、もうひとりのぶつかったアキトという男は、とにかく良くも悪くも目立っている。



「ちょっと、無視?」


なので仕方がなくも眉を寄せてみれば、やっと彼らの顔はこちらに向いた。



「なぁ、瑠衣と知り合いなんだろ?
だったら俺らこれから飯行くんだけど、詫びついでに奢るよ。」


一緒に行かない?


と、アキトは言った。


瑠衣は同意しているのかどうなのか、何も言わずに肩をすくめて見せる。



「百合、どうすんの?」

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