渇望
あの日から一週間ばかりが過ぎただろうか、だからってあたしの毎日は同じようなものだけれど。


昼と夜で、この街は顔が違う。


だから夕方のこの時間というのは、まるで支配者が入れ替わるが如く、通りは人で溢れていた。


そこを歩くあたしはいつも、うつむき加減だ。


ナンパやキャッチは鬱陶しいし、いちいち相手にするのも馬鹿らしいから。


用もなく歩いているさ中、ふと煙草を切らしていたことを思い出し、顔を上げた。


その瞬間、ドンッ、と肩に鈍い痛みを感じる。



「痛っ!」


思わず声を上げてしまい、それと同時にバランスを崩し、よろめくような格好になってしまう。


続いて感じた、足首の痛み。


あたしにぶつかってきた男は、心底驚いたような顔をしていた。



「ちょっとアンタ、何すんのよ!」


「マジごめん!
つか、どこも怪我してない?」


睨み上げたあたしの視界を占めたのは、焦ったように心配そうな顔。


中性的で、どこのホストにも見目劣らないような顔立ちに、一瞬怒りさえも忘れていた自分がいる。


けれども思い出したように疼く足首の痛みに、思わず顔を歪めてしまう。



「ごめん、俺の不注意だわ。」


そこまで謝られると、それ以上声を荒げることすら出来ない。


何より、不注意だったのはあたしも同じだろうから。



「もう良いわよ。」


痛みを噛み殺してそう言ったのに、男の心配そうな顔に変化はない。


面倒なのでもう立ち去ろうとは思ったが、痛めた足はひねったようで、歩けないと思ったその瞬間。



「アキト!」

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