★バレンタインの奇跡★
「でも意外だったなぁ。溝端君ってホント他人に無関心っていうかさ、今まで感情的になるトコなんて見たことないから。あんな熱くなって井川に殴りかかるなんて、もしかして麻衣に気があんじゃない?」
「は!?」
由加里の言葉に、思わず大きな声が出そうになって、あたしは口を抑える。
今は授業中で、静かに喋んなきゃ教授に気づかれちゃう。
「何でそーなるわけ?絶対ないし。由加里妄想はげしすぎ。」
「えー、溝端君いいじゃん。あたしが麻衣だったら惚れてるかも。ってかもう軽く惚れたわ、さっきので」
由加里はそう言うと、溝端君をチラリと見た。
何だかあたしの胸が、少しざわついた。
ありえない。
だってあたしには、永遠を誓った人がいるんだもん…